原価計算と価格設定(相談事例)

原価管理と価格設定

今日は相談事例のご紹介です。原価計算と価格設定についてのご相談。

新潟を中心に全国で活動している中小企業診断士の宮澤奈緒子です。
色んなものの価格が高騰しています。
必要な利益を確保するために、原価をしっかり把握してタイムリーに管理することが大切です。

(相談)原価管理や適切な価格設定を教えてください

飲食店を個人経営しています。
物価高騰の影響を受けて価格転嫁を考えていますが、値上げにより客離れがおきないか不安で踏み切れません。原価管理や適切な価格設定などについて教えてください。
原価管理と価格設定

このケースは3回の訪問でアドバイスしました。

①現状把握のヒアリングからスタート

(1回目訪問)
現状と課題把握のための経営者ヒアリング。
・所在地、店内の様子、席数、周辺環境など現地確認
・売上、利益状況、借入金返済額、必要生活費の確認(決算書とヒアリング)
・どんなお客様がいらっしゃってますか?(客層)
・お客様に支持されていることは?(強み、特徴)
・主なメニューと販売状況
・経営方針、意向の確認 など

②現状データとシミュレーションで腹落ちしていただきました

(2回目訪問)
・損益計算書(P/L)データから現状を数値で把握。
 →過去の決算書、当年度試算表から簡易キャッシュフローを説明。
・原価、利益のシミュレーション
 →原価率が数%違うだけで、手元に残るお金(生活費分)がいかに変わるかを知る。
・業界平均(経営指標から)と当店を対比。
・メニューごとの販売数量をデータ集計。
 →自店の現状を具体的な数字で把握する。
・競合店の価格帯を調査、報告。
・経営者が計算した原価を確認。 など

経営者が腹落ちした上で、自ら考え行動できるように、判断材料となる現状データを提示しました。
原価率は、たかが数パーセント、されど数パーセントなのです。あなどれない。
食材原価の他にも光熱費高騰の影響も見逃せません。

③原価計算と価格設定。適正な利益を確保しましょう。

(3回目訪問)
・資料をもとに、主なメニューの原価計算を行う。
 →今後は自分で計算ができるように。計算根拠は残しましょう。
・原価計算をもとに、見直しが必要なメニューの洗い出し。
・原価、目標利益率をもとに販売価格の計算方法を説明。
・値上げの際の注意点を説明。

売上だけに着目するのではなく、必要な利益が確保できているかが重要です。
売上だけに注目すると、安売りに走ることになってしまいます。
薄利でも多売ができれば良いですが、そもそも人口は減少しています。薄利多売で、商品、提供サービス、オペレーション等、クオリティ(品質)を下げず、お客様に満足し続けていただくことは可能ですか。

お客さまは、あなたのお店に通い続けたいのです。
大好きなお店がなくなっては困るのです。がっかりしてしまいます。
自店にとって適正な利益を確保して事業を継続しましょう。

地域になくてはならない愛されるお店として、持ち味を活かして、これまでもこれからもずっと末永く継続していただきたいお店です。貴重な機会をありがとうございます。 ご縁に感謝して私は大丈夫シールをプレゼントしてきました。

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データを眺めて、傾向とか変化とか見つけるのって、けっこう好き。
データで現状が見えてきたので、次の機会には、価格設定だけでなくて、方向性にあわせたメニュー表・POPなんかもあわせてお店づくりを一緒に考えたいなぁ。


相談は専門家派遣制度が活用できます

上記の事例はあくまでも一例です。
相談のイメージとして参考にしていただけますように。
それぞれの事業者の課題や状況に応じたコンサルティングを行っています。
新潟県内の公的機関の専門家登録をしています。
専門家派遣制度を活用して相談のコンサルティング費用を軽減することができる場合があります。
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